症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/20 (金)

ダイエットをして多嚢胞性卵巣症候群を克服!

目標は-13kg!!
168cm/85kgでがっちりした体格の30代女性。
元々体格は良いほうでしたが、「このままではまずい」と漢方ダイエットに挑戦することに。


生活面は、仕事が忙しく、食事は遅い時間が多いとのこと。
仕事のつきあいで飲み会も多く、断れない性格のため、自ずと外食が多くなりがちに。
でもその分、体の重さを解消するために、毎朝欠かさずランニング!
他にも運動を日課にしており、自覚できる体調面はいたって健康。

不調といえば、生理不順が気になるくらい。

以前は4ヶ月に一度くらいのペースでしか生理が来ておらず…。
病院で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、2年前から治療のためにピルを飲んでいるとのことでした。


「一番はダイエットだけど、生理が自然に来る体になれば良いな・・・」

お客様のなりたい姿を共有させていただき、
漢方+ダイエットの生活がスタートしました!
 
最初は、体に溜め込んだものをリセット
代謝アップには、内臓を休めることが大切。

内臓は日々の消化活動で疲弊し、老廃物が蓄積しています。
しっかり休めることで、老廃物の掃除と本来の力の活性化を促すのです。


まずは代謝を高める漢方薬とともに、食事量をぐっと減らして、空腹時間をしっかり保つことを頑張っていただきました。
こうして胃腸の働きが良くなると、代謝アップだけでなく漢方の吸収力も高まり、一石二鳥です。

その後は、職場のつきあいも含め、生活スタイルに合わせた食事の摂り方で、徐々に減量。
もともと運動の習慣がついていたことは、デトックス・脂肪燃焼に大きなプラスの力になったと思います。

そして10ヶ月後には、目標達成!!
 
リバウンド防止と生理不順改善のために、漢方継続
同じ頃、ドクターの提案でピルを休んでみたところ、難なく30日で生理が来ました。

ただし、
次も自然に来ますように、と待ってみたものの…
そう簡単にはいきません。

50日経っても来ないためピルを再開。
それからは、ピルを2ヶ月休み、自然に生理が来なければ再開、を繰り返しながら様子をみました。


そうして10ヵ月もすると、自力での生理が連続!?
まだ周期はばらばらで、26日だったり45日だったり幅はありますが、それでもピルなしで生理が来るのは大きな進歩!

その後も漢方を継続し、翌年には、多嚢胞性卵巣症候群は治っていることが判明!
今は、生理周期は30日前後とばっちりのリズム。もちろん、体重のリバウンドなしです。
 
ダイエット と 多嚢胞性卵巣症候群
実はこの方は、ダイエットのための漢方も、多嚢胞性卵巣改善のための漢方も、同じものを使っていました。どちらも同じ体質によるものだったからです。
【多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と肥満を漢方的にみると】
PCOSの主な要因
瘀血血流が滞ることで、卵胞に質の良い栄養が届かない。停滞した毒素で卵巣の膜が固くなる。チョコレート嚢胞ができやすい。
痰湿卵巣内がどろどろ淀み、血流を妨げる。卵巣の膜が厚くなり、排卵の邪魔をする。
肝気鬱結ホルモンバランスの乱れを起こす。卵巣へ排卵の指令が伝わらない。
脾虚「痰湿」を生じやすい。体力がなく、卵を育てる力、排卵させる力がない。
腎虚不摂生や加齢により、卵胞自体のエネルギーが弱く、成熟に至らない。
肥満の主な要因
瘀血濃い味、肉類の食べすぎ、運動不足、あるいは、冷えから血流が悪く、毒素が溜まりやすい。固太り。
痰湿油っこいもの、甘いものの食べすぎ、飲みすぎから、体の中の淀み「痰湿」が生じる。痰湿の停滞は、脂肪に変わり、内臓の働きを妨げる。内臓脂肪が多い。
肝気鬱結ストレスから、代謝機能が乱れる。過食になりやすい。「瘀血」を引き起こす。上半身に肉がつきやすい。
脾虚消化力が弱く、消化しきれない分が「痰湿」となって溜まる。食後の眠気、だるさ。体力がない。上半身はあまり太らないが、下半身がぽってり。
腎虚水分代謝・排泄機能が弱く、「湿」がたまりやすい。下半身が重だるく、血流が悪くなりやすい。全身が浮腫んだように太る。
 
見ていただくと分かるように、PCOSと肥満の要因、けっこう共通していませんか?

さらに言うと、いずれの理由にしても現に太ってしまった場合、結果的に体内で増えたものは、「痰湿」もしくは「瘀血」なんです。
どちらも、PCOSを引き起こす要因でしたね。

つまり、“太る=PCOSの要因を作る”ということです。

もし不摂生で太ってしまったのであれば、自分でリスクを高めてしまっているかもしれません…
生活習慣に心当たりがある場合は、早いうちに見直してみましょう。

ダイエットとは「痰湿」と「瘀血」を減らすこと。
そして「痰湿」と「瘀血」が減れば、PCOSのリスクも減らせます。



もちろん、誰もがPCOS改善の為に、ダイエットをすれば良いというわけではありません。
脾虚や腎虚が原因の方は、太っていない場合も多いです。
また、ダイエットの方法も、デトックスが効果的なのか、代謝力をあげるべく補うことを優先すべきか、体質によってアプローチは異なります。


なぜその不調が出てきたのか、全身に目を向けてみましょう。
一見関係なさそうな複数の不調も、元をたどれば同じ原因から来ているかもしれません。

不調の大元から体質改善をすることが、今ある不調の改善にも、予防にもつながります。


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